<お話を伺った方>
共同印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部 学びビジネス推進部 コンテンツプロデュース課
課長 遠藤 美菜子様

共同印刷株式会社 学びビジネス推進部

共同印刷のコーポレートメッセージ「共にある、未来へ」のもと、学びコンテンツブランド「YorisoWeL」を展開。企業向けの組織成長支援サービスと教育機関向けの文教支援サービスにより、学生から社会人まで、学びを通じた幅広い成長支援を行っている。

ウェブサイト:https://yorisowel.com/

TriAnchor(トライアンカー)概要

ダイバーシティ推進や女性活躍推進といった企業課題に応えることを目的に開発された研修サービス。復職前3か月間のオンライン講座を実施する復職支援プログラムと、5分程度の動画配信で生活面やマインド面のヒントを提供する両立支援プログラムから成る。

※サービス名に込めた想い
Tri: 自分・パートナー・会社(職場)の3者(トライアングル)をチームに。
Anchor:復職後に向けて、自分の働く価値観(錨)を見つける。

ウェブサイト:https://www.kyodoprinting.co.jp/lp/trianchor/

育児休業からの復職のタイミングで前向きなキャリア形成につながる環境を整える──。

共同印刷株式会社では、そのためのプログラムとして、2022年から育休取得者向け講座「TriAnchor」を提供しています。背景には、フルタイム勤務であっても家事・育児負担が女性側に偏りやすい現状があります。企業側には女性管理職を増やしたいというニーズがある一方で、出産・育児を機に女性の昇進意欲が低下する傾向があるといった課題があります。

復職という仕事と育児の両立期の始まりのタイミングで前向きなキャリアの軸を形成することは、女性管理職が育たないという企業の構造的な課題を解決するための環境づくりにつながります。毎年1~3月に実施している「TriAnchor」は、90分・全6回のリアルタイムオンライン講座です。90分のうち50分程度は4〜5名のブレイクアウトルームで受講者同士での対話を行い、インプットとアウトプットを交互に実施。2026年度からチームタクトを導入し、学び合いを促進しています。

TriAnchorの生みの親である、同社 情報コミュニケーション事業本部 学びビジネス推進部 コンテンツプロデュース課 課長の遠藤美菜子さんに、導入の背景や導入後の背景などについて伺いました。

概要

<課題>

  • 学びの個別化
    仲間との繋がりがブレイクアウトルームの対話のみにとどまり、多様なロールモデルから学び合う機会が不足していた。
  • リアルタイム参加率の低下
    プログラム実施期間が長期にわたるため、後半になるにつれてリアルタイム参加率が低下してしまう。※アーカイブ配信での受講も可能。
  • 課題の取り組み状況のブラックボックス化
    自主性を重んじて課題提出を求めていなかったため、受講者のワークの取り組み状況を確認できなかった。

<活用成果>

  • 学び合いの促進(相互閲覧900回以上)
    ワークシートの相互閲覧機能により、他者の思考プロセスを参考にする文化が生まれ、学び合いが活発になった。
  • 学習意欲の向上
    ほかの人も取り組んでいることが可視化されたことで、良いピアプレッシャーが生まれ、参加意識や主体的な学習姿勢が大きく向上した。
  • 運営側の業務効率の改善
    アーカイブや各種資料を一元展開できるため、受講者への案内メールの回数が減り、事務局の業務が効率化された。
  • 講師のファシリテーション向上
    受講者の事前ワークの取り組み内容が可視化されたことで、講師が受講者の背景を理解した上で的確な進行を行えるようになった。

<チームタクト活用のポイント>

  • 資料やアーカイブの一元管理
    ワークシート、各種資料、動画講座情報、セッションアーカイブ、学びの振り返りなど、すべてを一元管理して事務局の負担を軽減した。
  • 個人情報を守る「ニックネーム運用」
    セキュリティの観点から個人情報を蓄積できない環境下でも、ニックネームでの登録・相互閲覧により、心理的安全性を保ちながら自己開示を促進できた。
  • Office形式のワークシートをチームタクト課題へ変換
    オリジナルのワークシートを作成し、取り組みやすい直感的なレイアウトに再設計した。

仲間と学ぶ価値を高めたい。ほかにはない、学び合いの仕組み

チームタクト導入前、TriAnchorにはどのような課題がありましたか?

一番大きかったのは、「学び合い」をさらに促進したいということです。

育児と仕事の両立に正解はないので、さまざまな人の考え方やロールモデルを知ることが価値になります。また、オンラインであっても「集合型で学ぶ意味」を尖らせたいと考えていて、グループで学ぶからこその価値を高めたいという思いがありました。

運用面では、リアルタイム参加率の維持向上という課題もありました。3カ月というある程度長期のプログラム且つ、育休中という無給期間の方に強制力を持たせない任意の参加形式にしているため、どうしても後半にかけてリアルタイム参加率が低下する傾向があるのです。※リアルタイムで参加できなかった受講者はアーカイブ配信での受講が可能。

さらに、以前はワークシートをメールで送るだけで提出は求めていなかったため、実際の取り組み状況が見えていなかったというのも悩みでした。

営業面では、人事担当者や当事者には価値が伝わるものの、数値化できる成果ではないため、管理職に「なぜ効果的なのかを説明するのが難しい」という課題もありました。

チームタクトの導入を決めた理由を教えてください。

やはり、他者のワークを閲覧して学び合える機能が非常に魅力的だったからです。

ほかのLMSもいろいろ探したのですが、「学び合い」に焦点を当てたサービスはなかなか見つかりませんでした。また、チームタクトのシートは、ニックネームで記載および管理ができます。個人情報保護の観点からも使いやすいと考えました。

TriAnchorに適した運営方法で業務効率もアップ

チームタクトの導入にあたって、コードタクト社からのサポートはいかがでしたか?

単なる機能のレクチャーだけでなく、TriAnchorに特化したマニュアルの添削や、効果的な使い方を提案していただきました。

例えば、これまでExcelで配布していた「ライフロール(※1)」や「タイムマネジメントシート(※2)」のワークも、チームタクト上で視覚的に取り組みやすいレイアウトをご助言いただき、大変助かりました。

また、全6回の講座ごとに外部ツールでとっていたアンケートを最終回の1回のみに減らし、各回の振り返りはチームタクト上の「気付きのまとめシート」に集約するという運用を提案していただいたことで、事務局の負担が大幅に軽減されました。

シートは各自ダウンロードできるため、自分の価値観を思い出す“アンカー(錨)”になります。復職後に悩んだときなどに見返していただけるのではないかと思っています。

※1 ライフロールシート。ライフステージによる、自身の役割りの変化を示したもの
※2 復職後のライフマネジメントシート。復職後のタイムスケジュールを可視化

講座の資料やアーカイブなど情報を一元化

チームタクトは、どのように活用していましたか?

受講者には講座中に課題としてワークシートを書いてもらい、それをもとにグループワークを行います。スマホから参加する方もかなり多かったのですが、運営側からは誰がスマホで誰がPCか分からないくらいスムーズに、問題なく運用できていました。

また、チームタクト内に、ワークシートだけでなく資料やリアルタイム参加できなかった方向けのアーカイブ配信などもまとめていました。

900回以上の相互閲覧が参加者のマインドと行動を変えた

チームタクトを導入して、実際にどのような効果を感じましたか?

最初の自己紹介ワークだけで、受講者同士のシート総閲覧数が900回以上ありました。みんな、ほかの人のワークをとても見たがっていたことが分かり、驚きましたね。

シートの相互閲覧によって、狙っていた“学び合い”は確実に実現できたと思っています。

さらに想定以上の効果として、リアルタイム講座の参加率も維持向上しました。

「ほかの人も取り組んでいる」というのが可視化されたことで、参加意識が高まったのではないかと思っています。

また、資料や課題を一元管理できることで、事務局の業務効率が改善しました。

以前は、次の講座で使うシートやアーカイブ動画などを、1週間前、前日、事後と3回送っていました。チームタクトでアーカイブを展開できるため、終了後のメール送付が不要になりました。

さらに、講師からも「誰がどのようなシートを書いているか見えるため進行しやすい」という声がありました。受講者の背景を理解した上で、自然に話を振れるようになったことも大きなメリットです。

受講者からはどのような声がありましたか?

アンケートでは、約9割の受講者が「両立に向けた見通しが立った・前向きな変化があった」と回答しています。特に「可視化されたシートをきっかけに、パートナーと具体的な話し合いができた」という声が多く寄せられました。本人のマインドセットだけでなく、家庭内をチーム化できたことは大きな成果です。

その他、「ほかの方のシートが見られるのが面白かった」「自分だけではないと分かった」「言語化することで漠然とした不安が明確になった」などの声も寄せられました。お互いに学び合うことで、一人で抱え込まなくていいのだと、復職に向けて前向きな覚悟を醸成できたのではないでしょうか。

一方で、 「もっとコメントを書く時間がほしかった」という声もありました。事務局で振り返りを行う中で「講座時間内でのリアルタイム入力に時間を使いすぎると、TriAnchorの価値である相互交流の時間が減ってしまう」という反省点もあがりました。

今後は、事前ワークを増やして、講座内はもっと交流を重視する設計に改善していきたいと考えています。

オピニオンリーダーを可視化し、組織づくりに活かす

最後に、チームタクトはどのような組織に向いていると思いますか?

全国に拠点があり、全員をリアルに集めるのが難しい企業や、従業員同士の学び合いを促進したい組織には、非常に合うと思います。オンライン研修の質を一段引き上げてくれます。

今後の可能性として注目しているのが、「オピニオンリーダーの可視化」です。

交流マップを使えば、誰の投稿が多く見られているか、誰がハブになって色々な人と繋がっているかが一目で分かります。企業内研修などでこの機能を使えば、組織を引っ張ってくれる人材を見つけ出し、その人を中心に組織づくりをしていくといった、新たな人材開発の使い方もできるのではないかと期待しています。

閲覧回数が可視化される「交流マップ」
中央の人ほど、多くの人と交流していることが分かる