概要

  • チームタクトを利用し、配属後も新入社員を継続的にフォローできるようになった一方、リモートワーク下で社員同士のつながりの希薄化を課題に感じていた
  • オンラインでの育成のありかたを模索するなかで、新しいメソッド「G-POP🄬ぐるり」に着目
  • 若手に寄り添う育成設計で、セルフマネジメントの強化とつながりの醸成を目指す
  • チームタクトの行動ログや、個人の内省を判定するG-POP🄬レポートを用いて、育成効果を可視化

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、新型コロナウィルス流行をきっかけにリモートワークの導入を全社的に拡大しました。それから3年間、ヒューマンリソース部(以下、HR部)ではリモートワーク下の新入社員育成のありかたを模索してきました。

新入社員の自律的な成長を支援していく伴走者であるHR部の奥山様、高田様、櫻田様に新しいメソッドを取り入れた育成施策や、チームタクトを活用した「育成効果や学び合いの可視化」の取り組みなどについて伺いました。

※約300人が参加する研修の一斉オンライン化実施の活動はこちら

育成施策を実施して浮かび上がったオンラインならではの利点と課題

― リモートワークや研修のオンライン化前後を比較していかがでしょうか?

奥山:NTT Com のHR部の実施する新入社員育成では、オンライン化の少し前から、社会人の基礎となるセルフマネジメント力を強化のため、「経験学習サイクル」を習慣化させることに注力してきました。

以前、集合研修を実施していたときは、研修時に「経験学習サイクル」の重要性について伝えるものの、新入社員が各部署へ配属された後に、その研修内容を実務へ活用できているか把握することは難しく、頭を悩ませていました。
しかし、チームタクト上(オンラインプラットフォーム)で育成を行うようになり、ガラリと環境が変わりました。

オンラインならではのメリットだとは思いますが、活動のログが残るようになったのです。課題の提出や、テキストでのコミュニケーションがログとして残ることで、入社時だけでなく継続的に新入社員のフォローアップを行うことが可能になりました。

高田:一方、リモートワークは社員同士のコミュニケーションにおいて、これまでにない課題もでてきました。新入社員のみなさんからは「自分の組織以外の同期と話すタイミングがなく、何をしているのかわからない」「会社に来ても誰も話す人がいない」といった不安の声が寄せられました。先輩社員はすぐにリモートワークに適応できたかもしれませんが、新入社員の場合、会社にも仕事にも慣れていないので、やりづらさを感じる人が多かったのです。

― デジタルだからできる可視化とデータ分析に新たな可能性を感じながらも、社員同士のつながりが希薄になっていることに課題を感じていたのですね。

奥山:その通りです。そこで私たちは「新入社員がリモート下においても、自律的に成長し続けるための社会人基礎力(セルフマネジメント力)を強化するとともに、つながりを醸成できるようにする」ということに主眼を置き、育成内容の改善を進めました。

内省と対話を促進する「G-POP🄬ぐるり」で参加者もファシリテーターも、皆で学び合う場をつくる

― どのような改善を進めたのでしょうか。ぜひ、プロセスも教えてください。

奥山:セルフマネジメント強化とつながり醸成という、2つの目的を達成するために注目したのが、チームタクトとセットで行う「G-POP🄬ぐるり」というメソッドです。

ご提案をいただいた当初は、これまでNTT Comで「振り返り」といえば個人で行うものだったため、仲間と振り返りを共有するこのメソッドは、うまく運用できるだろうか、どんな成果が得られるだろうかと半信半疑でした。そこで、まずは新人研修導入前にHR部メンバーで試してみることにしました。

「G-POP🄬ぐるり」とは?

「G-POP🄬(ジーポップ)」とは、株式会社リクルートテクノロジーズの元代表取締役社長であり、株式会社中尾マネジ メント研究所代表の中尾隆一郎氏が提唱している、高業績を 挙げ続けられる人・組織の振り返りの型です。

「G-POP🄬」とは、以下の4つの頭文字をとった造語です。
Goal(ゴール・目的)
Pre(事前準備)
On(実行・カイゼン)
Post(振返り)

高業績を挙げ続けられる人・組織は、常に Goal を意識し、Pre(事前準備)に時間を使い、柔軟に On(実行・修正) を行い、Post(振返り)から成功・失敗のポイントを学び、仕事の成功確率を高めるとしています。

「ぐるり」とは、〈グル〉ープ〈リ〉フレクションの略称です。

4 人 1 組のグループでファシリテーターの 進行に沿い、個人が事前ワーク(内省の記 述)をおこなった内容を発表していきます。フラットな関係性で他者と対話を通し て学び合い、関係性を深めます。

※G-POP は、株式会社中尾マネジメント研究所の登録商標です。

奥山:実際に体験してみると、改めて振り返りをきちんと言語化する重要性や、仲間とやるからこそ得られる学びなど、さまざまな効果が得られました。

日々の業務に追われていると、自分自身について15分も話し、人からコメントをもらう機会など滅多にありません。それがチームタクトとメソッドに沿って進めるだけで、簡単且つ全員均等にこのような機会をつくれるので驚きました。

また、一緒に働く仲間が、どのようなマインドを持ち、仕事を進めているのか垣間見ることができ、良い刺激をし合う時間だと感じました。たとえば私の場合、仲間の振り返りで本からの学びの共有が多いことに刺激を受け、私も読んでみようと思うようになり、以前より読書量が多くなりました。

毎週続けていくと、おのずと自分の思考のクセや良い点が見えてきて「自分を知る」ことになりますし、さらに普段の業務からはなかなか見えない「仲間を知る」こともできます。
仲間が自分の振り返りについて考えてくれるという有難さ、温かさも感じ、徐々に普段の業務も円滑になりました。

これらのHR部で得られた効果は新入社員においても有効になると思い、導入に至りました。

新人研修に関しては、コードタクトの方と相談して年間の全体設計をしました。
まず4月の入社時に、施策を行う目的や意義を伝える動機づけと、G-POP🄬シートへの記述の仕方などのレクチャーを行いました。そして部署配属後、実際にチームタクト上でのシート記入や内省の練習期間を設けた上で、9月よりぐるりを実施。ぐるり期間終了後には、メンバー同士の成長や活動の効果を感じてもらうため、各グループで振り返り会を実施しました。これらの課題配布等は、すべてチームタクト上で行っています。

高田:ぐるりについては、前半4週間で先輩ファシリテーターにリードしていただき、後半は、新入社員同士のグループ内でファシリテーター役をたて自走するという、2日程にわけました。
新入社員にとっては「先輩のファシリテーションを見て、学んだ後にトライする」流れを作れ混乱等なく実施できたということはもちろん、先輩社員にとっても学びの機会を創出することができました。

―段階的に行っていったのですね。参加者はどのような様子でしたか。

櫻田: HR部から一方通行にシートに「記入しておいて下さいね」とアナウンスしただけでは、参加者にとってはなかなか継続が難しい活動だと思いますが、ぐるりという取り組みが合わさったことで、ほどよい緊張感を持ち取り組めていたと感じます。

また、チームタクト上でリアクションやコメントがあることが励みになり、モチベーションが維持され習慣化できているように見受けられました。

新入社員に実施後アンケートをとったところ、「ゴール達成のための課題の把握ができるようになった」「計画性がついた」「仲間づくりや業務を知るきっかけとなった」と答えた方が多くいらっしゃいました。

櫻田:「毎週G-POP🄬シートを記入し振り返りを実施したことで、自分の業務や目標を俯瞰して見ることができた。また、同期の業務に取り組む姿勢に刺激を受けて、自分の業務にも反映することができた。」、「毎日ゴールを意識し、毎週ゴールを振り返ることで、現状と計画がどうなっているか気を付けるようになった。部署内研修のチーム開発でも開発期間のゴールを意識して開発をできるようになった。」といった声もきかれました。

―ファシリテーターに先輩社員が参加されていますが、どんな反応がありましたか。

高田:先輩社員の事後アンケートからも、多くの方に成長実感があったことが見受けられました。

櫻田:今回私はファシリテーションをする側をはじめて経験しましたが、メンバーとの関わり合いの中で「アドバイスをするのではなく、メンバーの内面に目を向け引き出す」という視点が得られました。この経験は、1on1などのマネジメント側のコミュニケーションにも応用できそうだと感じました。

―運営面で、チームタクトを活用するメリットはありましたか。

高田:参加者が多かったため、シートの記入状況を一覧で確認しながら、参加者へ追加の案内や説明ができるのは大変助かりました。また、参加者の課題提出状況をチームタクト管理者画面上で簡単に確認できるので、ファイルを開くなど余計な動作をしなくてよく、迅速かつ柔軟に対応できました。未提出者に関してはCSVで管理でき、フォローもしやすかったです。

チームタクトは資料の配布、ワークシートの共同編集・共同閲覧、課題の提出状況の把握などの機能が整っていて、一元的に管理できるのも大きなメリットだと思います。NTT Comでは今回の施策に限らず、年間を通して別の研修でもチームタクトを利用していますが、過去に実施した内容にさかのぼることが容易で、管理側のHR部はもちろん、参加者である社員の皆さんの利便性も高いでしょう。

育成効果を可視化し、セルフマネジメント力の向上を実現

― 今回の取り組みの成果を教えてください。

奥山:一通りの育成施策を完了した後、チームタクトの行動ログやチームタクト付帯サービスである「G-POP🄬レポート」の分析を活用して、育成や学び合いの効果の可視化に力を入れました。

国内初『内省する力』を AI が判定 フィードバックする「G-POP🄬レポート」とは?

「G-POP®レポート」とは、チームタクト上の G-POP🄬シートの記述内容と交流の結果を分析したレポートです。 『内省する力』を独自の AI 技術で判定・フィードバックします。このレポートにより、自分の内省の記述がどうだ ったかをスムーズに自己点検ができ、改善に向けたアクションを行うことができます。

G-POP レポートには他者から学びをとりいれるためのヒントも書かれます。
「他者の良かった Pre と Post に学ぶ」「人気の G-POP に学ぶ」「多様性に学ぶ」という切り口で、他者のシート から学びが得られる仕組みになっています。

※国内初は、日本国内における「G-POP🄬シートの AI 分析サービス」として(2022年11 月、自社調べ)

奥山: まず、チームタクト上の行動ログ(他者の閲覧、コメント・いいねのし合い等)の分析により他者のシートを複数閲覧している人は、振り返り力が高く、仕事の計画・実行力もあがったという結果が得られました。

また、G-POP🄬レポートで各人に判定されたスコアの結果を集計し、ぐるり実施前後でどのような変化があったかをみてみると「振り返る力」「目標を達成する力(=セルフマネジメント力)」に関し、力を伸ばし、レポートの判定も向上した人が増加しました。

― 素晴らしい育成成果があらわれていますね。

奥山:まさに、G-POP🄬シートを用いて内省を行い、ぐるりで他者と対話し、関係構築を促進してきた今回の施策が、セルフマネジメント力向上に寄与したと言える結果が得られました。チームタクトとG-POP🄬ぐるりによって、若手育成で強化したい経験学習サイクルの習慣化と、社員同士のつながりづくりを同時に実現できたと感じます。今後は、より一層分析に力をいれセルフマネジメント力が行動変容にどれだけ繋がっているのか、という個人データも収集したいと思っています。

チームタクトとG-POP🄬ぐるりで実現する「育成のバトン」

―今後、取り組んでみたいことを教えてください。

高田:G-POP🄬ぐるりを経験した新入社員が先輩社員となり、自律的にぐるりを継続している事例や、翌年のぐるりに先輩ファシリテーターとして関わってくれるといった事例がでてきました。先輩社員の熱意に影響を受けた新入社員が、翌年に先輩ファシリテーターになる。そういった熱意が受け継がれる流れを大切に、今後はより一層「育成のバトン」が良い形でつながっていくように支援していきたいです。

櫻田:今後、チームタクトとぐるりの活用によって、新入社員と上長・先輩社員とのコミュニケーションが促進できるようになるような仕組みを構築できれば理想的だと思っています。新入社員が、いま、どんな悩みを抱えているのかなど、本人の状態がわかるようになれば、よりその人にあった個別のフォローアップができていくのではないかと思います。業務面と健康面の双方の状況を把握した上で、両輪の育成支援をしていきたいと思っています。

奥山:データ分析結果を育成にとどまらず、採用との連動にもつなげていきたいです。全社的に「新人をみんなで育成する」という価値観が根付いて来ていることを感じます。関係者を増やして、より定着させていきたいです。