概要

  • 「チームメイキングをして組織力を上げたい」と考えていた竹本社長
  • KPIを設定し、それをテーマに全店舗で毎週チームタクトを使った振り返りを実施 ・各店舗の活動を相互に簡単に共有することが可能になった
  • 共有された活動をお互いに真似することで全体に良いアクションが広がった ・結果、見学入会率が前年比12.3%増を達成

写真1)左から、営業本部長(当時)の倉金さん、営業本部マネージャーの金井さん、黒田さん

「スポーツスパ アスリエ」を運営する株式会社文教センター。現在は12店舗の総合型フィットネ スクラブ、4店舗のリハビリ型デイサービス、3店舗のフィットネスジムを展開しています。

「現場の社員が自ら考え行動できる組織を作っていかなければならない」

そんな問題意識を持っていた竹本勝憲社長が相談を持ちかけたのが株式会社中尾マネジメント研究所の中尾隆一郎氏でした。「見学入会率」(見学者が入会にいたる割合)をKPIに設定し、各店舗での進捗をお互いに共有するため、2019年11月よりチームタクトを導入。

営業本部長(当時)の倉金さん、営業本部マネージャーの金井さん、黒田さん、吉野さんに、 チームタクト導入により組織内に起きた変化についてお話を伺いました。

写真2)上段左から、営業本部長(当時)の倉金さん、営業本部マネージャーの黒田さん     下段左から、営業本部マネージャーの金井さん、吉野さん

トップダウンの組織から自律的な組織へ

―以前は、トップダウンの組織だったそうですね。どんなところに課題があったのでしょうか。

金井さん:各店舗では、入会率や退会抑制率、利用率アップなどの課題に対する施策が個別に行われ てはいたものの、目標の未達が続いていました。

吉野さん:そんな状況下で、各店舗のマネージャーが集まる定例会議は、結果の数字のみにフォーカスし「なぜできていないのか」と叱られる場になってしまっていました。数字の改善にもつなげられず、変わらなければという問題意識を持っていました。

金井さん:マネージャーも皆体育会系ということもあり、結果を出すために「できていないこと」につい目を向けてしまっていたんですよね。

倉金さん:現場で自律自転できる組織を作っていきたいと考えていました。トップダウンではなく、 現場の社員が自ら考え試行錯誤して成功する方が良い。そのためには、振り返りが課題でした。

毎週同じテーマで振り返りを実施

―具体的にどんな風に変えていったのでしょうか。

金井さん:定例会議のやり方を大きく変えました。全社的に入会促進活動に焦点を当て、それについて毎週振り返りを行うことに決めたんです。フォーマットを決め、会議の前日までに各店舗のスタッフがチームタクトを使ってその週の振り返りを書いています。
以前も振り返り自体は行っていたのですが、先週はこれ、今週はこれ、といった感じで継続性のない単発の施策を打っているような状態でした。テーマを決めて行うことで、経営にインパクトのあることに焦点を絞って各店舗の活動を進めることができるようになりました。

図1)定例会議に向けた振り返りフォーマット

良いことを見つけて褒める文化の醸成

―振り返りシートは、見学入会率アップというKPIに対し、目標、先週やると決めたこと、今週やったこと、わかったこと、来週やること、実際に行った施策、良い兆し、悪い兆しなどを記入する フォーマットになっていますね。実際にどんな書き込みが行われているのでしょうか。

黒田さん:例えば、「お客様を笑顔で出迎えること」「お名前を覚えて頻繁に声をかけること」などが当たり前にできる人もいれば、そうでない人もいます。チームタクトにそういった活動を書き込むことで、店舗の垣根を超えて良い事例が共有されるようになりました。誰かの書き込みに対して「いい ね!」ボタンを押したり、手書きでもgoodなどと書き込めたりする気軽さもよかったですね。

図2)手書きコメントなどの反応が見られる実際の振り返りシート

金井さん:全社共通で掲げた「見学入会率」という目標に対して、各店舗の良い活動が毎週取り上げられていて、朝礼や申し送りでも話題に上ります。それを社長も含めてみんなが見ているという状況なので、スタッフの意識も上がりますよね。SNSに慣れた世代のスタッフが多いこともあり、「いいね!」やコメントがつくと嬉しいし、振り返りシートを書くこと自体に楽しさを見出していってくれ ました。

―「素晴らしい振り返り!」などのコメントや「たいへんよくできました」スタンプなど、各店舗の 書き込みに対するポジティブな反応が多く見られますね。

吉野さん:その点で私自身もやり方を変える必要があり、実は最初は結構ストレスもあったんです (笑)。以前は各店舗の施策の細かい部分までは見えていなかったので、結果の数字を見て良くない 部分に焦点を当てるマネジメントスタイルでした。チームタクトを導入してからは、良いところに注目 するようになりました。現場も含めみんなが良いことを見つけに行く文化が醸成され、チームタクトの書き込みには現場のリアルな声が溢れています。メンバーの表情も良くなったと感じます。

金井さん:今までは各店舗でそれぞれが良いと思うことをバラバラにやっていました。チームタクトでの共有が始まったことで、全社をあげた活動として共通の目標に向かう中で個性を活かすことができ るようになりました。ここまで現場が生き生きできるのだということを私自身も学びました。

黒田さん:私は現場のスタッフと接する機会が多いのですが、以前は「いいことだけど、わざわざ言うことではない...」と口をつぐんでいたこともあったような気がします。今思えば、現場が言い出しにくい雰囲気を、管理職が作ってしまっていたのかもしれません。

金井さん:見学を仕切っていた吉野の意識が変わったことは結果に大きく影響していると思います。 実は、定例会議の前には、必ずこのプロジェクトメンバーで集まる「会議のための会議」を行っていました。先週の活動を振り返り、次の定例会議で何をするのかを決める場です。そこでは、吉野さんの先週の発信のこれがよかった、これがダメなんじゃないかなどの指摘もされていましたね。

図3)各店舗の施策の良いところに対してつけられた手書きコメント

TTPS(徹底的にパクって進化する)で実現した見学入会率前年度比12.3%増!

―良い事例を共有することにとどまらず、チームタクトのコメント欄では「どうやってやったのです か?」などの質問や「よかったらデータを送ります!」など店舗を超えたコミュニケーションもたく さん生まれていましたね。

黒田さん:チームタクトを通じてちょっとしたことを含めて共有できたことで、真似してみようという 空気ができていきました。自分達がやったことが他店舗で採用されると、それがモチベーションになり、徐々に自信になり、もっと良い施策をして共有しようという雰囲気が生まれました。

金井さん:この試みで、2019年度の見学入会率は、前年度に比べ12.3%伸びました。積極的に振り返りを書き込み発信していた店舗は、他店と比べて成績の伸びも顕著でした。前年比25.5%増となった 相模原店、21.5%増の鷺沼店などがモデル店舗となり、他店がTTPS(徹底的にパクって進化する) していくという形で進めていきました。

見学されるお客様それぞれ状況が異なるため、入会率アップにはこれがベストという答えがあるわけではありません。いかにお客様にヒアリングしてより良い提案をするかが重要なので、一人ひとりの意識が変わったことが一番大きかったと思います。それに加え、チームタクトで他店舗や他のスタッフの活動が日々共有されていることで、各自が行動に移しやすい状況が整ったということですね。

吉野さん:チームタクトは書き込みがリアルタイムに反映されるのも特徴ですよね。日々の変化がわかるので、タイムリーに打ち手を検討することができ、数字の成果に確実につながっていったと思いま す。

金井さん:実は以前から、共有フォルダで情報共有できる環境にはあったんです。でもそれではうまくいきませんでした。定例会議で決まったことをマネージャーが店舗に持ち帰っても、現場は忙しくてタイムリーに情報伝達ができないということも起きていました。

チームタクトのすごいところは、リアルタイムに書いているところからオンラインで共有できてしまうところです。わざわざフォルダを開いてファイルを開ける手間もありません。現場のスタッフが自ら気軽にチェックすることができました。そのため活動を共有し、TTPSし、それをまた共有するという形でスタッフそれぞれの意識や行動が変化して、コツコツ上がっていくことができたと感じています。

図4)コメント欄で店舗間の情報交換が行われている様子(図表右の赤枠内)

―TTPSを促す工夫は何かされたのでしょうか

金井さん:吉野や私が声をかけたり、「チームタクト応援番長」といって毎週必ず全店舗にコメントする担当を作るなど、コメント欄の活性化を促しました。他店舗の活動に質問がたくさんつくようになったのがとてもよかったですね。現場のスタッフたちはその辺りがすごく面白かったようです。 また、パフォーマンスの良いスタッフの動画を撮り配信するなどの工夫も行いました。そのスタッフは、今では「応援番長」となって全店舗に対し発信をしてくれるようになっています。チームタクトはスマホでも使えるので、電車の中などでも開いて書き込みをしているそうです。

組織力の向上と今後への期待

―今回の施策をされて、組織にはどんな変化がありましたか?

倉金さん:今までは単に結果報告の場だった会議が、活動と結果が見えて、次週の取り組みを決める場になりました。明らかに目の前に起こることが変わってきているという実感があります。

  • 吉野さん:組織全体としては、チームタクト上でのコミュニケーションから始まり、リアルで会った時 に「あなたがコメントをくれた○○店の○○さんですね」のような交流へとつながっています。みんな でメンバーを育てる文化ができ始めています。
  • 金井さん:各店舗に5,6人いる社員のうち見学担当者は1人。実は結構孤独なんです。チームタクトの書き 込みで担当者同士のつながりができたのもよかったですよね。

―チームタクトの今後の活用イメージを教えて下さい。

吉野さん:今後は、新入社員研修や階層別研修で、事前準備、当日、振り返りと連続性を持たせて活用していきます。企業理念の浸透、グループコーチングなども有効ではないかと考えています。

金井さん:現在も別の担当者が仕切ってチームタクトを使った振り返りを続けていますが、これがビジネス上の結果にさらにつながっていくと嬉しいですね。