<お話を伺った方>
株式会社リプライス
営業企画部長 鈴木 大元 様 営業部長 園田 広郷 様 ブロック長 長田 光平 様 (以下、敬称略)
「事業拡大を牽引する、自立自走できる人材を育てたい」
“再生住宅”の企画・流通事業を展開する株式会社リプライスは、組織の拡大に伴う拠点間のナレッジ共有の壁や、社員の孤立感という課題を抱えていました。この課題を打開するため、同社は既存の会議を見直し、捻出した時間を「振り返りと対話(G-POPぐるり)」に投資します。
その結果、社員の思考プロセスが可視化され、マネジメントの質が劇的に変化。エンゲージメントサーベイで過去最高の評価を獲得するに至りました。今回は、そんな同社の組織変革についてお話を伺いました。
概要
<課題>
- 事業拡大のスピードに人材の成長が追い付いていない
- 事業拡大に対し、現場を牽引するリーダー層の育成と「人の成長」への投資が経営の急務となっていた。
- 拠点間のナレッジ分断と社員の孤立化
- 全国に拠点が点在しているため成功事例(暗黙知)の共有が難しかった。
<活用成果>
- エンゲージメントスコアで過去最高を記録
- 「横のつながり」や「連帯感」を示すスコアが大きく改善し、社内サーベイで過去最高評価を獲得した。
- 実行力の強化
- 自分で目標を立て、振り返り、次につなげるサイクルが定着した。
- 個人の気づきが「組織の知」へと循環
- 現場の小さな工夫や質の高い振り返りが、タイムリーに全社へ共有される仕組みが整った。
<チームタクト活用のポイント>
- AI分析を「壁打ち相手」にした振り返りの底上げ
- 導入初期にAIのスコアを活用し、振り返りの書き方をトレーニングした。
- 「思考の可視化」によるマネジメントの最適化
- 部下のプロセスや悩みが可視化されたことで、上司が的確な「プロセスの承認」や建設的なフィードバックを行えるようになった。
- 相互閲覧によるピアプレッシャーと学び合い
- 他エリアのリーダーの行動や計画が可視化されることで、「良い意味での焦り」と「学び合い」が生まれ、自発的な行動が促進された。
「人の成長」に投資する
―今回、チームタクトとG-POPぐるりを導入された背景をお聞かせください。
鈴木:会社として事業をさらに拡大していく上で、それを牽引するリーダーの育成が不可欠であるという課題意識がありました。きっかけの1つは、『ユニクロの仕組み化』という本を読んだことです。そこには、経営陣や役員がいかに「人の成長」に対して時間を使うべきかが書かれており、私たちももっと社員の成長に投資し、時間を割かなければならないと痛感しました。また、私自身が以前に参加していた塾でグループリフレクションの良さを体感していたことも後押しになり、導入を決めました。
園田:当時、当社は全国に30以上のチームと10数拠点があり、北は北海道から南は福岡まで全国に点在していました。そのため、各拠点で生まれる成功事例や、現場の小さなコツ(ナレッジ)を全社でタイムリーに共有することが困難な状況だったのです。G-POPを通じて、普段は関わりのない他拠点の同じ役職のメンバーと4人1組で対話する仕組みを作れば、大きな知見だけでなく、現場の些細なナレッジの共有が進むと考えました。
鈴木:さらに、当社は採用拡大のフェーズに入り、同期が誰もいない遠方の拠点に新卒社員が配属されるケースも出てきていました。そうした際に、社員が孤立を感じることが離職につながるリスクも懸念していました。G-POPを通じて社員間の「横のつながり」を感じてもらい、会社や仲間に対する愛着を育みたいという狙いも強かったです。
―導入にあたり、既存の会議を思い切って廃止されたと伺いました。
鈴木:週1回のG-POPぐるりを本格的に導入すると、社員一人あたり月に約4時間の会議が増えます。多忙な営業現場にただタスクを上乗せしては負担になるため、月に1回の情報共有ミーティングなど、既存の会議をこの機会に見直し、廃止・縮小しました。
捻出した時間を現場での深い議論や対話へとシフトさせたのです。「何よりも個の成長と知恵の共有が重要である」という経営側からのメッセージでもありました。


孤立を防ぎ、全国の拠点をつなぐ。段階的な拡大プロセス
―どのようなステップで、140名規模の全社展開へと進めていったのでしょうか。
鈴木:最初は私と営業部長2名の計3名という最小単位で試行し、「これは確実に良い取り組みだ」となりました。その後、部長陣がファシリテーターとなり、現場のリーダー層約20名へと展開し、3カ月間運用しました。そこで振り返りの価値を体験したリーダー層が、今度は自らファシリテーターとなり、現場のチームへと一気に120〜140名規模まで拡大させたという流れです。
―会議の縮小や新しい取り組みを全社展開するにはインパクトがありますが、混乱はありませんでしたか?
鈴木:とくに混乱はありませんでした。日頃から社長が「自立自走」というテーマを発信しており、全社会議でも「G-POPぐるりはわれわれの目指す組織像に完全にマッチした取り組みだ」と推奨してくれたからです。会社が進みたい方向と活動内容が合致していたため、現場も違和感なく受け入れられたのだと思います。
園田:全社展開を成功させるため、メンバーの「組み合わせ」にはこだわりました。たとえば、まだ経験の浅い2年目の若手社員を、あえてベテランのリーダー層のグループに入れることで、意図的に視座を引き上げるといった工夫です。
長田:実際に社内アンケートを取ってみると、「やって良かった」という前向きな声が圧倒的多数を占めていました。今では「G-POPがあるからほかの打ち合わせの予定をずらそう」というように、G-POPがメンバーのスケジュールの主軸になっています。
思考の可視化と業務プロセスの承認で変化するマネジメント
―現場でメンバーと向き合う中で、マネジメント層にはどのような変化がありましたか。
長田:これまで、上司と部下の間で「お互いが日々何を考えて仕事をしているのか分からない」という相互不理解が少なからずありました。
しかし、チームタクトのG-POPシートを見れば、部下が「今週どこに力を入れたのか」「何に悩んでいるのか」が一目瞭然です。不安になっている部下には寄り添い、強いこだわりを持って対応した部下にはしっかり褒めるなど、一人ひとりの状態に合わせたマネジメントの「さじ加減」が調整できるようになりました。
園田:私はファシリテーターとして、まずはポジティブなフィードバックから入り、心理的安全性を高めることを意識しました。関係性が構築されてから、思考の深掘りや建設的な指摘へと移行するよう心がけています。
また、私の部下であるマネージャー陣も、さらにその部下のシートを能動的に見に行くようになりました。現場のリアルな課題の解像度が上がり、より筋の通ったフィードバックが可能になったことで、チーム全体を動かす力が高まっていると感じます。
―結果だけでなく、振り返りの「プロセス」を承認することが重要だと伺いました。
鈴木様:そうですね。メンバーの内省プロセスにおいて、たとえ仕事の結果が悪くても、気づきや振り返りの内容に具体性が増した点を重点的に褒めることが重要だと考えています。
例えば、物件の買い取りに繋がらなかったとしても、「仲介業者さんとのトークで、もっとこういう言い回しをすればよかった」と解像度の高い振り返りが書けていれば、「そこまで具体的に気づけたのは素晴らしい進歩ですね!」とコメントし、承認します。目に見える結果だけでなく、この「思考のプロセス」に着目して承認することで、社員は探求を止めずに頑張り続けることができると思います。
AIを「壁打ち相手」に。客観的データが質の高い振り返りを生む
―今回、チームタクトの「振り返りAI分析」はどのように活用されたのでしょうか。
鈴木:導入当初は、メンバーも「G-POPシートに何を、どう書けばいいのか分からない」という手探りの状態でした。そこで、AI分析のスコアが非常に良い「クッション」として機能したのです。
上司からいきなり「振り返りが浅い」とダメ出しをすると角が立ちますし「何がどう浅いのか」という具体性が部下に伝わりません。ですが、AIの客観的なデータを見ながら「〇〇さん、AIの採点が辛口でなかなか厳しいですね(笑)。『仮説』の要素がもう少し欲しいみたいです」と採点結果を交えて伝えると、振り返りの改善の必要性や具体的な改善ポイントを指摘しやすかったです。すると、メンバーは「AIに満点を取ってやる!」と奮起し始め、質の高い振り返り記述になっていきました。良く書けている人の記述を「今週のG-POP」として全社に共有することが、切磋琢磨するきっかけとなりました。これにより、全社的な振り返りの基準となるレベルを引き上げることができたと思います。
長田:私はもともと仮説を立てるのが好きだったので、AI分析のレーダーチャートでも「仮説」のスコアが高く出ていました。一方で、感想ベースの振り返りになってしまい、レーダーチャートが「細長い形」になってショックを受けているメンバーもいました。
そこで、「ほかの人のシートを見て、仮説ポイントの書き方を真似してみよう」と相互閲覧を促しました。徐々にチャートが縦にも横にも大きく広がるようになり、定量的なデータが彼らの自信につながっているのを肌で感じます。

サーベイ過去最高を記録。個の気づきが組織知に変わる
―G-POPの導入によって、組織全体としてどのような成果を感じていますか。
鈴木:定性的な変化はもちろんですが、定量的な成果として、当社が以前から実施しているモチベーションサーベイにおいて、上半期で過去最高のという高評価を獲得しました。業績の好調も背景にはあるとは思いますが、それ以上に「横のつながり」や「連帯感」「魅力的な人がいる」に関連するスコアが大きく向上しており、G-POPの効果が表れていると感じています。
また、経営のメッセージが現場に浸透するサイクルが構築されたことも大きいです。毎週の朝礼での社長のメッセージを、現場がどう受け止め、行動に落とし込んだかがG-POPですぐに可視化されます。それを部長会議でチェックし、「まだ意図が響ききっていないから、今週は伝え方を変えよう」とアジャイルに軌道修正できるようになったのは、組織運営における大きな収穫です。
園田:目標設定と振り返り、そして次のアクションを決めるというルーティンが毎週確実に実行されるようになり、組織全体の「実行力」が明らかに強化されました。これにより、全社で掲げた販売目標や内見数などの達成率が着実に向上しています。
長田:新任リーダー層にとっては、ほかのエリアのリーダーが具体的な計画を実行している様子がチームタクトを通じて可視化されることで、「うちもやらなきゃ」という良い意味での焦り(プレッシャー)が生まれています。孤独を感じるのではなく、切磋琢磨の種となり、自発的な行動を後押ししています。
今後の展望:筋肉質な振り返りと、次世代ファシリテーターの育成
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
鈴木:目標達成に必要な「具体的な作戦」や「小さな進歩」をさらに深く言語化する、より「筋肉質な振り返り」へと質を高めていきたいですね。現場での具体的な行動の工夫や、チャンスボールへの反応などを記述し合えるような、レベルの高いグループリフレクションの場を実現したいです。
長田:一人ひとりが振り返りの質を高めることが、組織全体の成果と強さに直結すると感じています。そのためにも、「楽しく振り返りができる人材」をこれからも増やしていきたいですね。
園田:会社の成長スピードに遅れることなく、リーダーを輩出していくことが当社の最重要課題です。今後は、G-POPの場を牽引するファシリテーター自身の育成も進め、メンバーの目標達成に向けた「できること」を増やすアシストができるような、育成の仕組みづくりをさらに強化していきたいと考えています。
(注)
▼G-POPとは
「G-POP(ジーポップ)」とは、株式会社リクルートテクノロジーズの元代表取締役社長であり、株式会社中尾マネジメント研究所代表の中尾隆一郎氏が提唱している、高業績を挙げ続けられる人・組織の振り返りの型です。
「G-POP」とは、以下の4つの頭文字をとった造語です。
・Goal(ゴール・目的)
・Pre(事前準備)
・On(実行・カイゼン)
・Post(振り返り)
高業績を挙げ続けられる人・組織は、常にGoalを意識し、Pre(事前準備)に時間を使い、柔軟にOn(実行・修正)を行い、Post(振り返り)から成功・失敗のポイントを学び、仕事の成功確率を高めるとしています。
▼G-POPシートとは
G-POPの内容を記入するシートです。

▼グループリフレクション(ぐるり)とは
グループリフレクションとは、ファシリテーターの進行に沿い、個人が経験したことや気付いたことを共有し、グループで対話を通じて内省(リフレクション)を深める手法です。
発表者が行った振り返りの内容に対し、他の参加者が感じたことを伝えることで他者の視点に触れ、新たな気づきや学びを得ます。テキストや口頭で言語化することでお互いの業務や考えに対する理解を深め、関係性を構築・強化します。チームタクトではグループリフレクションを通じて、個人の内省力の向上と相互理解を深める場づくりを行う支援を行っています。


.jpg)






































.webp)














