<お話を伺った方>
株式会社デルタスタッフ
社長室長兼グループ経理財務部 部長 林 宜希さん
人材派遣事業やエンジニア派遣、アウトソーシング事業などを幅広く展開するDELTA Holdings株式会社は、2025年からマネジメント層でG-POPグループリフレクション(以下、G-POPぐるり)を開始し、約半年後からはグループ全社員で実施しています。 今回は、株式会社デルタスタッフ 社長室長兼グループ経理財務部 部長 林 宜希さんに、G-POPぐるり実施の目的や、全社展開の方法などについて伺いました。
「経営目標」を現場の「行動」へ。KPI×G-POP連動の狙い
―G-POPぐるりを全社員で行おうと考えた背景を教えてください。
中尾マネジメント研究所のKPIマネジメントをベースとした研修を社内で実施したことがきっかけです。その後、代表の田上と部門長5人が中尾塾に参加し、G-POPの良さも知り、当初から「これは全社員で取り組むべきだ」と構想していました。
最大の狙いは、「上司が示す『数値目標(KPI)』と、部下の日々の『行動(G-POP)』のズレをなくすこと」にあります。
以前からKPIによる数値管理には取り組んでいましたが、現場レベルでは「目標数字」と「今日やるべきこと」が乖離してしまう課題がありました。そもそもKPIを設定する能力や、そこから計画を立てて振り返る習慣が十分には備わっていなかったのです。 そこで、まずは経営陣と部門長層が先行して学び、KPIマネジメントとG-POPをセットで連動させる仕組みを構築してから、全社へと展開しました。
全社展開の狙いは大きく3つあります。
「社員の自律自転の習慣作り」「上司部下のスムーズな情報共有」、そして「上司の方針と部下の行動のズレの修正」です。
本来、グループリフレクションは自律自転のための仕組みだと思いますが、現段階ではまだ情報共有の仕組みとしての役割も大きく、上司が何を考えているのか、部下との認識にズレがないのかを擦り合わせるためにも全社で実施することに価値があると判断しました。
試行錯誤で見つけたフィードバックの質を高める運用
―全社展開にあたって、運用方法はどのように調整されましたか?
当初は「部署横断」のグループで行っていましたが、現在は「同じ部署」での固定メンバー制に切り替えました。
最初は管理職と経営陣で定例ミーティングをG-POPぐるりへ置き換える形でスタートし、その後、事業部ごとの自主運用に移行しましたが、実施状況や効果にばらつきが出てしまいました。
これを受け、まずは拠点長や課長を加え、部門長がファシリテーターを担いながら対象を広げていきました。最終的には一般職を含めたホールディングス全社員90人での実施を実現しました。
初期は、事業部の枠を越え、部署横断のランダムなグループ編成で実施しました。
部署横断のグループは「横のつながり」を作る上では有効でしたが、業務内容が異なりすぎると、掲げたKPIに対する具体的な行動(G-POP)が適切かどうか、フィードバックしづらいという課題がありました。
そこで、運用を変更し、「同じ部署」で固定メンバーのグループを作る形にしました。業務内容や目標数値を理解し合っている「同じ部署」のメンバー同士で振り返りを行うことで、「その数字を目指すなら、もっとこういうアプローチがあるのでは?」といった実践的なアドバイスが可能になり、フィードバックの質が高まりました。
―全社展開の際に苦労されたことはありますか?
一番の課題は参加率ですね。時間は固定したものの、現場の状況で参加できないことがあるため、どのように習慣化していくかは今も課題です。
また、当初は一般社員が拠点長や部門長のG-POPシートを見る機会がなかったこともあり、シートの記入内容のレベル差が大きく、質が揃いませんでした。そこで11月からは管理職も同じグループで発表し、正しい書き方や思考プロセスを直接見せる方式に変更しました。これにより、社員のシートの書き方の質は徐々に高まっています。

―営業職の方など、参加時間の確保が難しい場合もあったかと思います。浸透させるために何か工夫していることはありますか?
当社では以前から、朝礼・終礼を通じて情報共有や認識合わせを行う文化があり、日々の業務を円滑に進めるための重要な時間として位置づけてきました。朝礼・終礼への参加は当たり前という文化があり、「できない」という言い訳が通らない環境になっています。また、同時に、「本当に生産性をあげるための施策として時間を作ろう」というメッセージをトップからも発信したことから、営業職を含む全社員への導入を実現できたのだと思います。
G-POPぐるりを始める前に、組織全体でKPIマネジメントの浸透を推進していたことも、参加を促すことにつながっているのかもしれません。
KPIから逆算し、個人目標と具体的な活動に落とし込む
―KPIマネジメントとG-POPは、具体的にどう連動させているのでしょうか?
「上司がゴール(KPI)を示し、部下がルート(G-POP)を描く」という役割分担をしています。
まず、OKRは年間目標として、社長と部門長で決めています。そこから部門ごとの KGI(月単位目標)を設定し、個人のKPIに落とし込むまでは部門長が行います。この個人のKPIをG-POPシートのGoalに設定し、それぞれが週次の行動(Pre)を考えます。例えば、営業職の場合、目標となる粗利金額がKPIとして決まれば、「その達成のために新規獲得を何件すべきか」「そのためには今週、何件の架電が必要か」と、具体的な行動量へと逆算します。

このPreの解像度をあげるために、オリジナルの「発見シート」も活用しています。タスクを洗い出し、今本当に取り組むべきものを発見し選択する力を養うためです。

これらはすべてチームタクト上にあり、全社員の目標が可視化されています。一般社員もOKRや部門のKGIシートなども見ることができるので、社内での自分の役割への解像度が上がっている人もいると思います。
G-POPシートは上長は必ず見ています。丁寧なコメントがあると、社員は「見られている」「承認されている」と感じるので、シートの記入内容も充実します。一方、コメントがないと、書き方が雑になったり、形式的になったりするケースがありました。社員の取り組み姿勢にも変化が現れています。今後は単なるコメントではなく、「なぜそう思ったのか?」「その行動の再現性は?」など、問いかけや視野を広げるようなフィードバックを標準化したいと考えています。
チームタクトの相互閲覧により、他部署間や部署内での連携が進む
―チームタクトを活用することによるメリットをどのように感じていますか?
最大のメリットは「相互閲覧」による連携強化ではないでしょうか。全員が全員のシートを見られるため、他部署の動きに興味を持ちやすく、理解も進んでいるようです。
他者の目標に対する行動や結果が分かるので「この人はこれだけ売り上げを上げているから、自分も頑張ろう」と刺激を受け、営業架電の件数が増えるなどの、自身の行動の改善にもつながっていると思います。
実際に、別グループのシートに「いいね」やコメントをする社員も出てきており、仕事の進め方のヒントを自発的に得ているようです。
同じ部署の中でも、営業とコーディネーターでは役割が違います。以前は互いの詳細な数字まで見ることはありませんでしたが、シートで可視化されたことで「営業がこれだけの数字を作ろうとしているのであれば、コーディネーターとしてはこうサポートしないといけない」というように、相手の状況を理解する材料になるのです。営業とコーディネーターは近くの席にいて、普段からコミュニケーションをとっていますが、結果として以前よりも具体的な意見や質問、確認事項が出るようになりました。
部署や拠点ごとの自律的な運用が理想 中途採用の研修での活用も検討
―今後の展望を教えてください。
理想は、各拠点や部署が自律的にグループリフレクションを運用できる状態になることです。将来的には一般社員がファシリテーターを担い、自分たちの拠点で自走できるようになれば素晴らしいですね。自律的に自由に使ってもらえることを考えるとワクワクします。
また、中途採用研修での活用も検討しています。対話のきっかけとして自己紹介シートやG-POPを活用し、早期にコミュニケーションを深めるツールとしても期待しています。
今もすでにG-POPシートにプライベートな内容を書く人もいますが、さらに推奨していきたいと思っています。仕事以外の側面を知ることで関係性が円滑になり、仕事が進みやすくなる場面もあるからです。上層部から率先して書いていくように呼びかけています。
目標が曖昧な組織におすすめ 特に若手社員の行動変容への効果に期待
―G-POPぐるりをどのような組織におすすめしたいと思いますか?
目標や目的が曖昧な組織や個人に向いています。当社はこれまで個人目標をあまり明確に決めておらず、拠点単位の数字をみんなで追う形でした。G-POPぐるりにより個人の目標設定と振り返りが定着し、行動へのコミットが高まっています。
また、特に若手社員は、G-POPシートで言語化の訓練をすることが大切だと思います。目標を考え、行動を振り返ることで、キャリア意識が高まり行動が変わる可能性が高いと感じます。
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