【上司・部下・組織の特徴別】心理的安全性が低い職場の末路とは?放置する危険性と原因別の対処法

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心理的安全性
モチベーション
主体性

「会議で意見を言ったら、否定的な反応をされた」
「小さなミスを報告したら、ひどく叱責された」
「上司の顔色をうかがってしまい、本音が言えない」

あなたの職場でも、このような息苦しさを感じたことはありませんか?

もし、部下が不安や恐れを感じて、自分の考えや気持ちを安心して発言できない、すなわち心理的安全性が低い状態であれば、それは組織にとって非常に危険なサインと言えるでしょう。

この記事では、心理的安全性が低い職場に共通する特徴を、上司・部下・組織の視点から紹介します。さらに、なぜそのような状態に陥るのかという根本的な原因や、放置した場合に起こる深刻な末路、そして今日から始められる具体的な改善策まで詳しく解説します。

目次
  1. あなたの職場は大丈夫?心理的安全性が低い職場の特徴
    1. 【上司編】部下のやる気を奪う心理的安全性低下の兆候と発言パターン
    2. 【部下編】無意識に「指示待ち」になっている?心理的安全性の低い職場に染まった人の特徴
    3. 【組織編】「挑戦=悪」になっている?硬直化した組織文化の心理的安全性低下サイン
  2. なぜ心理的安全性が低くなるのか?構造的な3つの根本原因
    1. 原因1:上司のスキル不足や見えないプレッシャー
    2. 原因2:部下間の過度な競争と無関心
    3. 原因3:組織の減点主義と短期的な成果主義
  3. 放置は危険!心理的安全性が低い組織の末路と深刻なデメリット
    1. デメリット1:「前例踏襲」のみとなり、イノベーションが枯渇する
    2. デメリット2:メンタル不調者が増加し、組織全体の生産性が低下する
    3. デメリット3:優秀な人材が見切りをつけ、離職の負の連鎖が始まる
    4. デメリット4:小さなミスが隠蔽され、重大な不祥事に発展する
  4. 心理的安全性を高め、息苦しい職場から脱却する「3つの処方箋」
    1. 処方箋1:【上司編】明日から実践できる傾聴と自己開示
    2. 処方箋2:【部下編】「私」を主語に伝える小さな勇気
    3. 処方箋3:【仕組み編】個人の努力を仕組みで支える
      1. 「G-POPぐるり」が個人の努力を仕組みで支える
  5. まとめ:心理的安全性の低下は組織からの危険信号。まずは仕組みの見直しから
  6. 引用・参照元

あなたの職場は大丈夫?心理的安全性が低い職場の特徴

まず、ご自身の職場環境を客観的にチェックしてみましょう。「うちの職場も当てはまるかもしれない」という兆候があったら注意が必要です。

【上司編】部下のやる気を奪う心理的安全性低下の兆候と発言パターン

チームの心理的安全性は、上司の言動によって大きく左右されます。部下のやる気を奪う上司には、以下のような行動と発言のパターンが見られます。当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

行動パターン
1 部下が話している途中で、話を遮って自分の意見を言いはじめる。
2 部下が報告している間、パソコンの画面ばかり見ており、目を合わせようとしない。
3 部下の失敗や問題点ばかりを指摘し、できたことやプロセスを評価しない。
4 部下のスケジュールを過度に管理し、頻繁に進捗確認を行う(マイクロマネジメント)。
5 会議や1on1で、ため息をついたり、イライラした態度を見せたりする。
発言パターン
1 詰問型:「なんでできないの?」「なんで(ミスが)起きたの?」
2 常識押し付け型:「普通はこうだよね?」「常識でしょ?」
3 結論急かし型:「で、結論は?」「要点は何?」

チェックがついたものはありましたか?

特に、部下が勇気を出して失敗やトラブルを報告した際、まず「報告してくれてありがとう」という感謝や労いではなく、「なんでそんなことになったんだ!」と叱責から入ってしまうと、部下は「仕事ができない」というレッテルを恐れ、ますますミスの報告や相談ができなくなります。

また、上司が周りの意見に否定的なスタンスだと、部下はよかれと思って改善提案や異論を唱えても、「批判的な人だ」「文句ばかり言う厄介者だ」とネガティブな評価をされるのではないかと恐れます。さらに、仕事の振りが雑で、部下のスキルや経験を考慮せず「自分ならこれくらい分かる・できるはずだ」という自己基準で一方的に指示を出す態度だと、部下は業務に必要な質問をすることすら「そんなことも分からないのか」と上司に評価されるリスクからできなくなってしまうのです。

【部下編】無意識に「指示待ち」になっている?心理的安全性の低い職場に染まった人の特徴

心理的安全性の低さは、上司だけの問題ではありません。その環境に適応した結果、部下自身にも以下のような特徴が現れていないか、振り返ってみましょう。

無意識の「受け身」状態
1 会議ではメモを取るだけで、自分から発言したり質問したりしない。
2 新しい仕事や役割を振られそうになると、消極的な態度をとったり、避けたがったりする。
3 常に忙しそうにしており、同僚からの相談や雑談を避ける雰囲気がある。
4 チャットやメールの返信はするが、対面でのコミュニケーションを極力避ける。
防衛的な行動習慣
1 ミスやトラブルが発生した際、すぐに報告せず隠そうとしたり、ごまかしたりする。
2 報連相のタイミングが遅れ、問題が大きくなってから報告する。
3 「上司に言われたのでやります」という姿勢が強く、自分で考えて工夫しようとしない。
4 常に上司や周囲の顔色をうかがい、自分の意見や本音を口にできない。

いくつ当てはまりましたか?

心理的安全性が低い職場では、自ら行動を起こし挑戦してもし失敗すれば、「無能だ」と評価されるリスクが生じ、業務上の疑問を呈すれば「ネガティブだ」「無知だ」と思われる恐れに繋がります。

この状況で、部下がペナルティーを回避できる唯一安全な行動は、上司から明確に指示されたことだけを、その通りに実行することです。

したがって、指示待ちの行動は、意欲の欠如や怠惰によるものではありません。むしろそれは、ネガティブな評価から自分を守るために身につけた、最も合理的な戦略と言えます。

【組織編】「挑戦=悪」になっている?硬直化した組織文化の心理的安全性低下サイン

個人の行動だけでなく、チームや組織全体に蔓延する雰囲気や暗黙のルールにも、サインは現れます。1つでもチェックがついた場合、要注意です。

組織全体の雰囲気
1 オフィスに雑談が一切なく、常に静かで張り詰めた空気が漂っている。
2 誰かがミスをすると、その人を助けるよりも先に犯人探しや責任追及が始まる。
3 成功事例は共有されるが、失敗事例が共有されることは(ほぼ)ない。
硬直化した文化・課題
1 情報がサイロ化しており、部門間やチーム内で必要な情報が共有されない。
2 新しいことを始める際、ルールや承認プロセスが異常に多く、実質的に挑戦を阻害する壁になっている。
3 「新人は雑用をやるべき」「会議では若手から発言すべき」といった、明文化されていない暗黙の了解が多い。
4 トップダウン型の組織文化が極めて強く、現場からの意見が経営層に届かない。
5 優秀な若手社員や中堅社員の離職が相次いでいる。
6 メンタルヘルスの不調を訴える部下が複数存在する。

イノベーションの創出には挑戦と失敗を受け入れる組織文化が不可欠ですが、多くの日本企業では「失敗は許されない」という考えが根強く残っています。実際にやってみて失敗したら評価が下がったというのでは、挑戦をためらってしまいます。問題は失敗そのものではなく、失敗後の評価の低下(ペナルティー)にあります。

なぜ心理的安全性が低くなるのか?構造的な3つの根本原因

前章で挙げた行動や発言は、なぜ起きてしまうのでしょうか。ここでは、その根本的な原因を深堀りしていきます。

原因1:上司のスキル不足や見えないプレッシャー

なぜ上司は、高圧的になったり、マイクロマネジメントをしてしまったりするのでしょうか。その背景には、上司自身のスキル不足と不安があります。

  • マネジメントスキルの欠如
    多くの管理職は、部下を指導・育成するための専門的な訓練(マネジメントやコーチング)を受けていません。その結果、自分が過去に育てられた方法(例:厳しく叱責する、背中を見て学ばせる)しか知らず、それを無意識に繰り返してしまいます。
  • 上司自身の見えないプレッシャー
    その上司自身も、さらに上の上司や経営層から「業績を達成しろ」という強いプレッシャーを受けており、彼自身の心理的安全性が担保されていないケースが少なくありません。不安や焦りが、部下への高圧的な言動として現れてしまうのです。
  • 完璧主義と減点主義
    上司自身が「仕事は完璧にこなすべきだ」「失敗は許されない」という完璧主義の考え方を持っていると、部下の小さなミスも許容できず、減点主義で管理してしまいます。
原因2:部下間の過度な競争と無関心

上司と部下の「縦」の関係だけでなく、部下同士の「横」の関係性も、心理的安全性を低下させる原因となります。

  • 過度な競争意識
    人事評価が、個人の成果だけを比較する相対評価である場合、同僚は仲間であると同時にライバルになります。その結果、助け合いや情報共有が起こりにくくなり、ときには足の引っ張り合いに発展することさえあります。
  • 過去の「言っても無駄だ」というトラウマ
    過去に、勇気を出して率直な意見を言ったり、改善提案をしたりした結果、周囲から叩かれたり、無視されたりした経験(過去のトラウマ)があると、「どうせ言っても無駄だ」という諦めが生まれます。この諦めは、チーム全体に「言わない方が得だ」という雰囲気として伝染していきます。
  • 他責思考と無関心
    「誰かがやってくれるだろう」という傍観者の姿勢や、同僚の成功・失敗に「自分には関係ない」と無関心な態度が蔓延すると、チーム内で助け合いの文化は育ちません。
原因3:組織の減点主義と短期的な成果主義

個人のスキルや意識を超えた、会社全体の仕組みや風土に、最も根深い原因が潜んでいることもあります。

  • 硬直的な減点主義の評価制度
    新しい挑戦には失敗がつきものです。しかし、その挑戦による失敗を許容せず、ミスをすると人事評価が下がる減点主義の制度になっている場合、誰もリスクを取ろうとしなくなります。
  • ビジョン(目的)の欠如
    会社やチームが何のために仕事をしているのか、その目的やビジョンが不明確だと、部下の関心は目の前のタスクをこなすことだけに向かいます。共通の目的に対する建設的な議論(健全なコンフリクト)は生まれず、ただ静かに作業をこなすだけの職場になります。
  • 行き過ぎた短期的な成果主義
    四半期ごと、あるいは月ごとの短期的な成果ばかりが追求されると、組織には「失敗している余裕」がなくなります。その結果、時間がかかる長期的な人材育成や、すぐに成果が出ない組織文化の醸成は後回しにされ、根本的な問題が放置され続けます。

実は、短期的な成果主義と減点主義は密接に連動しており、悪循環を生み出します。組織として失敗から学び、成長する文化を育むには、失敗から学べる環境が不可欠ですが、短期的な成果主義の下では、失敗は単なる成果の未達と見なされ、許容されません。

短期的な目標達成を最優先する管理職は、リスクを排除するため、失敗にペナルティーを課す減点主義に頼らざるを得なくなります。

つまり、組織が短期的な成果を追求するほど減点主義が強化され、その結果、挑戦をためらう文化が定着してしまうのです。この構造は、後に述べる不祥事の隠蔽にも直結する、極めて危険なメカニズムです。

放置は危険!心理的安全性が低い組織の末路と深刻なデメリット

「うちの職場も当てはまるが、仕事は回っているから大丈夫」
そう思ったとしたら、注意が必要です。心理的安全性が低い状態を放っておくと、組織の将来に深刻な影響が出る可能性があります。

デメリット1:「前例踏襲」のみとなり、イノベーションが枯渇する

心理的安全性が低い職場では、「反対意見を言えない」「新しい提案が歓迎されない」ため、イノベーションが生まれることはありません。

一方で、心理的安全性の高い組織では、率直な意見交換やチャレンジ精神から新しいアイデアが生まれ、生産性の向上が期待できます。さらに、多様な価値観が創造的な解決策や革新的なアイデアを生み出す源となります。

失敗を恐れる部下は、「無知だと思われたくない」「否定的な人間だと思われたくない」という不安から、リスクのある新しい挑戦を避け、過去の成功体験を選ぶ(前例踏襲)ようになります。

結果として、組織は時代の変化に対応できずに硬直化し、競合他社に追い抜かれていくリスクが高まります。

デメリット2:メンタル不調者が増加し、組織全体の生産性が低下する

常に上司の顔色をうかがい、叱責を恐れ、本音を隠し続ける環境は、従業員に過度なストレスを与え続けます。これは、メンタルヘルスの不調者を増加させる直接的な原因となります。

また、部下は本質的な仕事の成果よりも、「いかに叱られないか」を優先するようになります。完璧な資料作成やミスのないアリバイ作りといった印象操作に多くの認知リソースを割くことになり、組織全体の生産性は著しく低下していきます。

デメリット3:優秀な人材が見切りをつけ、離職の負の連鎖が始まる

心理的安全性が低い職場では、優秀な人材から先に見切りをつけて辞めていきます。

株式会社カルチャリアの調査によると、転職者の83.2%が職場を選ぶ上で心理的安全性を「重要視する」と回答し、さらに68.5%が「前職の心理的安全性が高ければ転職しなかったと思う」と回答しています1

優秀な人材が流出すると、残った部下の業務負荷が増大し、さらに職場の雰囲気が悪化するという負のスパイラルに陥ります。結果として、採用コストや再教育コストが膨らみ続け、経営を圧迫することになります。

デメリット4:小さなミスが隠蔽され、重大な不祥事に発展する

これが、心理的安全性の欠如がもたらす最も深刻なリスクの1つです。

複雑な業務において、小さなミスは必ず発生します。しかし、ミスをしたらひどく叱責される環境では、部下は小さなミスや違和感(ヒヤリ・ハット)を報告せず、隠蔽するようになります。

隠蔽された小さな問題は、水面下で蓄積・悪化し続けます。そして、誰も気づかないうちに問題が致命的なレベルまで進行し、顧客や社会を巻き込む重大な事故や、取り返しのつかない不祥事として、ある日突然表面化するのです。

心理的安全性を高め、息苦しい職場から脱却する「3つの処方箋」

では、この息苦しい職場から脱却するために、私たちは何をすれば良いのでしょうか。立場別に、明日からできる具体的なアクションをご紹介します。

処方箋1:【上司編】明日から実践できる傾聴と自己開示

職場の心理的安全性を高める鍵は、間違いなく上司が握っています。明日からできる3つの具体的な行動を意識してみてください。

  1. 自己開示で弱さを見せる
    上司が「これもよく分からない」「昔こんな失敗をした」と、あらかじめ自分の弱さや過去の失敗を共有することで、このチームでは完璧でなくていいという安心感が生まれます。これは、部下が持つ「無知・無能だと思われることへの不安」を和らげる効果があります。
  2. 傾聴で相手の話を遮らない
    部下が話し始めたら、結論を急かしたり、「でも」「それは違う」と途中で遮ったりせず、まずは最後まで真剣に耳を傾けることが重要です。この姿勢が、「邪魔をしている」「ネガティブだと思われる」という部下の不安を取り除きます。
  3. 悪い報告に感謝する
    部下からミスやトラブルの報告を受けた時が、最大のチャンスです。叱責する前に、まず「(隠さず)報告してくれてありがとう」と、その勇気ある行動に感謝を伝えてください。これにより、「ミス=悪」ではなく「ミス報告=善」という文化が育まれます。
処方箋2:【部下編】「私」を主語に伝える小さな勇気

「上司が変わらない限り、どうしようもない」と諦めている部下の方もいるかもしれませんが、できることはあります。

  1. 「I(アイ)メッセージ」で伝える
    相手を主語にすると、批判的に聞こえてしまうことがあります(例:「(あなたは)説明が苦手なようですね」)。
    そうではなく、「私」を主語にして、自分の状態やリクエストを伝えてみましょう(例:「(私は)この点がまだ理解できていないので、もう一度教えていただけますか?」)。これは、対人リスクを最小限に抑えつつ、本音を伝えるテクニックです。
  2. 早めに相談する
    「無知だと思われる不安」を乗り越え、分からないことや不安なことを早めに相談してみましょう。あなたが抱え込まずに相談する姿が、上司や同僚にこのチームは助けを求めて良いんだという雰囲気を作ることにつながります。
  3. 小さな承認と感謝を口にする
    同僚のサポートには「ありがとう」と具体的に伝えたり、会議で良い発言に「良いですね」と反応したりするなど、意識的にポジティブな言動を増やすことも、職場の心理的安全性を高める第一歩となります。
処方箋3:【仕組み編】個人の努力を仕組みで支える

上司編・部下編で紹介した個人の努力は非常に重要です。しかし、残念ながら個人の心がけだけでは、組織の文化は長続きしません。

なぜなら、その心がけは、日々の忙しさや業績へのプレッシャーによって、簡単に元の減点主義や無関心な状態に戻ってしまうからです。

だからこそ、個人の努力や勇気に依存するのではなく、心理的安全性を担保する仕組みを組織に導入することが、根本的な解決策となります。

例えば株式会社サイバーエージェントでは、挑戦する文化を個人の勇気に依存させない仕組みを実施しています。同社では「経営の率先垂範」のもとに、かつて新規事業コンテストに案が集まらなかった際、経営陣が自ら新規事業を考案し、失敗と成功を繰り返す姿を現場に見せました。

さらに重要なのが「敗者復活の事例」です。いくら挑戦が奨励されても、失敗した人が評価されなければ社員は踏み出せません。そこで、失敗した人が再び挑戦できる事例を意図的に作り、失敗を許容する文化を浸透させました。

また同社ではこの失敗を事例化し、失敗のプロセスを整理・共有しています。これにより、後から挑戦する社員が「どこでつまずいたのか」を事前に学び、慎重に臨むことで失敗の確率を下げられる「貴重な組織の資産」に変えているのです。

ほかには、失敗したプロジェクトの関係者を取材し、「私の履歴書」のようにドキュメント化して社内で共有もしています。これにより、失敗は個人の責任ではなく「組織の資産(学び)」に変わります。

このように、経営陣が率先して失敗を許容し、それを「振り返る」サイクルを仕組み化することが、現場の挑戦を促すのです2

最後に、同社の常務執行役員CHO曽山氏は「新規事業を生み出しどんどん変化していくような強い組織、一人ひとりが自走するような組織のポイントは三つある」と言います。

一つ目は、軸の明文化。ビジョンやミッションが明文化されて、それが社員に浸透している状態を指します。例えば、失敗を許容するという軸があっても、社員が信じていなければ不完全です。

二つ目は、横のつながり。チャレンジを促すには、社員同士の信頼関係、横のつながりは、極めて重要です。スタートアップで急成長している会社が、仕事外の部活動などに力を入れているのもそのためだと考えます。

三つ目は、個人への光。…(中略)…つまり、社員を認めること、期待すること、表彰することに注力すれば、自分の存在意義がより感じられて、力をもっと発揮できるはずです。私は日本社会をもっと期待し合う文化に変えていきたいと考えています。
([2]より引用)
「G-POPぐるり」が個人の努力を仕組みで支える

株式会社サイバーエージェントの事例のように、失敗を組織の資産に変える仕組みは、心理的安全性の構築に不可欠です。

私たちチームタクトが推奨する「G-POPぐるり」は、まさにそのための仕組みです。

G-POPとは、仕事の進め方と振り返りのフレームワークです。Goal(目標)、Pre(計画)、On(実行)、Post(振り返り)の略で、日々の業務における実行と振り返りのサイクルを構造化する型です。

従来の週報のように、単にやったことを報告するだけではありません。また多くの心理的安全性が低い職場(減点主義の職場)では、振り返りが個人の失敗を追及する犯人探しの場になってしまいがちです。「なぜ失敗したんだ!」と個人の責任を追及するのでは、部下は叱責を恐れ、挑戦的なPreを立てなくなり、ますますミスを隠すようになります。

G-POPにおけるPostは、そうした「ヒト」の追及ではなく、「コト」に焦点を当てます。成功したのであれば再現性を高めるために何が良かったのかを、失敗したのであれば再発防止のためにどのプロセス、計画や実行方法に課題があったのかを振り返ります。そして、Next Pre(次の計画)に活かすのです。

このように、失敗を「個人の責任を追及するもの」ではなく、「次の行動のために、プロセスの課題を発見するヒント」へと再定義する仕組みがあれば、失敗は減点ではなく「貴重なデータ(学びの資産)」に変わります。

さらに、「グループリフレクション(ぐるり)」という手法で学びをチーム内・組織内で共有すればそれは会社の財産になります。

ぐるりではただG-POPの内容を話すのではなく、心理的安全性を確保するためにルールが設計されています。「全員が均等に話す」「他人の話を遮らない」「どんな発言も否定しない」といったルールが、参加者全員の発言の質と量を担保します。これによって、上司も部下も、個人のファシリテーションスキルや勇気に依存することなく、安心して本音の対話(=健全なコンフリクト)を実践できるようになるのです。

▼G-POPぐるりについて詳細を知りたい方はこちらをチェック

「チームタクト」を活用したグループリフレクションのご紹介
ダウンロード資料

まとめ:心理的安全性の低下は組織からの危険信号。まずは仕組みの見直しから

本記事では、心理的安全性が低い職場の特徴、その根本原因、放置した場合の深刻な末路、そして解決策について解説してきました。

心理的安全性の低下は、単なる職場の雰囲気の問題ではなく、個人のメンタルヘルス、組織の生産性、イノベーション、そして優秀な人材の定着まで、組織の持続可能性そのものを脅かす危険信号です。

上司の自己開示や部下のIメッセージといった個人の努力は、今日からできる重要な第一歩です。しかし、その努力を支え、持続的な文化として定着させるためには、減点主義に陥らないための仕組みの見直しが不可欠です。

あなたの職場を「息苦しい場所」から「誰もが安心して挑戦できる場所」へ変えるために、まずは仕組みの点検から始めてみてはいかがでしょうか。

心理的安全性の全体像や、ぬるま湯組織との違いについて詳しく知りたい方は、こちらのまとめ記事・関連記事もぜひご覧ください。

引用・参照元

  1. 株式会社カルチャリア.“社員の定着率アップには、「心理的安全性」を高めることがカギ 1年以内に転職経験のある会社員の83.2%が、職場を選ぶ上で「心理的安全性を重要視する」と回答”. PR TIMES. 2022-02-02,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000088606.html, (最終閲覧日:2025-11-13).
  2. 株式会社HRビジョン.“イノベーション・新規事業を創出する「人」の育て方、「組織」の作り方”.日本の人事部 . 2023-12-21,https://jinjibu.jp/hr-conference/report/r202311/report.php?sid=3318, (最終閲覧日:2025-11-14).

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